「 大地が育てる自立の心 」

出典 福祉だより ぎふ (社)岐阜県社会福祉協議会

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以下テキスト

設立の経緯

ナイスディは、岐阜県美濃加茂市が本拠地の特定非営利活動法人で、平成21年4月に設立されました。
この法人は、主に高齢者・障がいのある方々や農家・企業が協働し、農業やイベント・広報活動をつうじて、お互いに「いいな!」と思えるような生活実現と、豊かな社会の創出に寄与することを目的としています。
設立の考え方は次のとおりです。
1. 障がいを持った方々に対する支援は向上してきたが、まだまだ不十分である。行政や福祉団体がフォーマル、インフォーマルな支援を実施しているが、どうしても隙間が生じる。そういった問題提起だけでなく、それらの隙間を埋めていく問題解決を図りたい。
2. 現在、食の安全・安心が求められている。そのため、有機農法を実践し、安定供給できる仕組みを構築したい。
3. 農業人口の減少と少子化は、休耕田・遊休農地の増加を招いている。そこで、経験のあつ高齢者と障がい者が一体となって、高度ではないけれど、農業を実施することにより、“癒し”効果を与えるとともに、そこでできる農産物も有価物としたい。
そのような趣旨・考え方に賛同した方々から、農地の提供や技術の指導が多数ありました。
実際に農作業をするのは、地域の障がい者施設の利用者や特別支援学校の生徒のみなさんのほか、個人参加で、目や耳の不自由な方々やその家族、手話通訳者の方々です。平日は、学校や仕事があるため、実際に農作業は、主に土日に行なっています。

農業活動

農地は現在、岐阜市・各務原市・美濃加茂市にあり、趣旨に賛同した、それぞれ地域の障がいのある方々が農作業をしています。
6月のある日、岐阜市正木にある農地を取材しました。
約1反の広さの農地には、キクイモ、サトイモ、にんじん、オクラ、大根、トウモロコシ、ゴーヤ、ゴボウ、枝豆、ナス、きゅうりなど、実に様々な野菜が、ところ狭しと植えられています。
多くの種類を栽培するのは、少しずついろいろな作業ができるからです。
この日参加したメンバーは、NPO法人役員のほか、聴覚障害者協会会員、盲ろう者友の会副会長、民間会社OB、特別支援学校卒業生とその家族、手話通訳者などのみなさんです。
農耕のチームリーダーにお話を伺いました。
リーダーは美濃加茂市聴覚障害者協会会長で、農業に詳しい方で、農耕に関する全ての権限を持っています。きっかけは、2年前、NPO法人を設立する際、現理事長が自宅に訪れ、参加を依頼したとのことです。自分のように耳が不自由な方だけでなく、知的障害のある方や年配の方をサポートしたいと思い、参加を決意しました。リーダーは、手話ができないので、メンバーへの指示は、手話通訳者をとおしてとなります。
明るく、ガッツあふれる方で、JAとれったひろば(可児市)での販売においては、いつも自ら進んで販売を行い、身振り手振りだけでお客さんにアピールし、取れた農作物は、いつも完売だそうです。農耕リーダーとしての抱負としては、「試行錯誤しつつも、メンバーの希望を聞きながら、一歩一歩進んでいきたい」とのことです。

オアシスランプ計画

NPO法人ナイスディは、今後の取り組み方針を示した「オアシスランプ計画」を策定しました。
これは、ナイスディの理念を具体化したものです。

目的

 障がい者が、一般就労ではできないことがある
・ 他人の目を気にせず、マイペースで生活
・ 個々の人に合わせた就労スタイル
・ 重度、重複障害であっても、社会活動が可能
・ 笑顔のある生活活動
・ 独自産業にすれば、生活が安定

事業1 障がい児者農

ナイスディは、農業を行なっていますが、それは趣味の農業の域を越えていません。今後は“営農”を目指していきます。
具体的には、キクイモなど付加価値の高い農産物を栽培し、安定した販路を確保することです。
キクイモとは、北米原産のキク科の植物です。草丈は2〜3メートルにもなり、地下部には生姜に似たイモ状の塊根をつけます。キクイモの糖質にはデンプンは含まれておらず、イヌリンが多く含まれています。このイヌリンに健康機能性があり、今、注目されているのです。
そのような農作物を、小売のほか、地元の漬物業者に安定的に供給しすることにより、安定した利益を得るのです。

事業2 雨漏りストップ材

雨漏りストップ材とは、コンクリートスラブ屋根にできた微細なひび割れと雨漏りを防止するもので、これを開発した企業が製品製造に障害者を雇用しており、社内において「障害者支援事業」と位置づけています。
ナイスディでは、この製造において、素材の乾燥〜計量〜梱包作業を請け負っています。作業自体は、ゆるやかで、個々の障がいのあるメンバーに応じて、作業内容や作業時間など調整が可能です。

事業3 堆肥・食料残渣再生化

食品産業やスーパーマーケット、レストランや家庭から出る食品廃棄物(食品残渣)から良質な堆肥を作る事業です。
このような廃棄物の回収は、通常業者が請け負っていますが、そのような業者にとってかわり、ナイスディが引き取ります。引き取った食品残渣は、プラントにて発酵させ、良質な堆肥を製造し、商品として農家に供給します。
この事業の実施するために、ナイスディでは、メンバーに堆肥プラントの専門家を加えています。
 

ナイスディの夢

NPO法人ナイスディでは、こういった事業の収益により施設を運営したいと考えています。それは、制度や行政に頼らず、自分たちにより運営する、自分たちのための施設です。
障害者自立支援法など制度に基づく事業は、どうしても制約が多く、自由が利かない、そういった考えにより、現在は、法人格はあるものの、障がいのある方が行なう作業等は、全て制度に基づかない任意のものとなっています。
その施設は、制度に対し問題提起するのではなく、自分たちで問題解決する、やれることをやろう、自立しようという意志の表れなのです。

連絡先:携帯 09014794459 カツラガワ
記事ここまで。

記事執筆: 岐阜県社会福祉協議会セルプ支援センター 森 英謙 様が取材頂き書いてくださいました。


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